洋食100年の文明実験の結果と反省
明治維新後、わが国は、いま120余年になります。
西欧文明をとりいれて100年余の生活実験を行ったわけです。
この間、いくたびもの戦争を行い、内外ともに悲惨な体験をしました。
西欧式の産業、経済、文化の発達と発展によって、明治以前にくらべれば、国民一般の平均的くらしぶりは向上しました。
文明開化という表現どおり、西洋文明は開花しました。
それに反して、わが国古来の伝統文化の多くは衰退し、失われました。
くらしの根幹は「食」ですので、「食」の分野から国と国民の健康を観察すると、洋風食が日常化して、動物性食品の摂取量が増大しました。
伝統の和食は、栄養の乏しい野暮な食とされ、敗戦後は米の増産がされたにもかかわらず消費は減少する一途で、肉食推進による米離れ現象がつづいています。
西欧流の栄養食は、西欧式の医学と医療とともに、わが国最大の死の病とされていた結核と細菌による伝染病を征服しました。
しかし、1994年のいま、細菌やウィルスによる伝染病類が、ひそかに復活してきています。
さらに、院内感染症などという新しい感染病の流行です。
これらは、いったいどうしたわけでしょう。
そのうえに、ガン、心臓病、高血圧、糖尿病などいわゆる成人病と称される疾病を国民病としました。
西洋風の食生活が大腸ガンや乳ガンや子宮ガンや糖尿病、心臓病、肝臓病など現代病の一因をなしていると医学によって指摘されながら、これらの病気と病人を減少できないままにもう久しい年月になります。
明治100年の文明実験を、「食」と「医」の分野では次のとおり、まとめることができましょう。
「西洋風の食生活になって、ガン、心臓病、高血圧、糖尿病など現代病が増えた」と。
それゆえ「現代病を減らし、予防するには、西洋風の食生活を改めればよい」ということになります。
どういうふうに改めればよいか。
西洋風食事の主体をなしている肉(動物性食品)と白砂糖に偏りすぎる食生活をやめればよいのです。
大腸がんの食事療法
明治100年の文明の実験は、以上のことを証明し、教え示しています。
実に、単純明瞭ではありませんか。
因果関係がこのように明確であるにかかわらず、現代病を減少させる適切かつ正確な具体的な処置が構ぜられず、採択もされないのはなぜなのでしょう。
その最大の理由は、
(1)お米の正しい教育が成されないまま西洋教育が行われたために、西洋の栄養学による「食」の知識が国民一般の常識として浸透し、それが正当化され、西洋風の食事に日常食が偏りすぎ、体質をゆがめる原因となってしまった。
お米を主食とする伝統食に対する正しい科学的研究と教育不足によって、伝統食への信頼と自信が定着確立されず、日本の風土と日本人の体質に適さない偏った食事が横行してしまった。
(2)偏った栄養常識に支持された偏った食品、偏った食糧産業、偏った農業が繁昌して、偏った食生活をさらに助長している。
(3)伝統食の衰退により、健康にもっとも貢献する土着(身土不二)の農産物の需要が減少し、国内農業の衰退を促進した。
以上の考察で、「明治維新」という名の「文明開化」事業は、国民の健康を虚弱化させ、わが国農業を衰退させて、国をも国民をも衰弱滅亡方向にすすめたといえます。
この原因と結果を、明確に国民的認識にしないかぎり、病める国と病める国民の現状の根本的な解決は不可能です。
「日本は科学技術工業国だから、工業製品で稼いで食糧などは外国から買えばよい」という強者の論理で政治・産業・経済が行われるかぎり、明治100年の文明実験の意義は無に帰するどころかマイナスに帰してしまう。
明治維新を、歴史的に生かすも殺すも、現代の正しい反省と正しい道への選択いかんにかかっています。
強者は、輸入食糧や生命力乏しき加工食品でも健康を害さない生れながらのつよさを恵まれていることは、まえに述べたとおりです。
それゆえ、食べものの生命力には、わりと無関心なひとが多く、外貨を稼ぐことのほうが国益であると盲信しています。
しかし、強者がいったん健康を害してガンや心臓病、肝臓、腎臓病や糖尿病になった時、はじめて自国農産物の生命力の重要性を察知することになりますが、その時は、わが国伝統の農業は亡びたあとです。
この間、弱者は、生命力の乏しい輸入食品や企業サイドの加工食品によって体力・生命力をさらに衰退させられ、衰弱させられ、自主独立の生計が不可能になり、病院や養護施設に生活を依存せねば生きられなくなり、これの打開のためにいまから福祉制度や施設の充実と完備が叫ばれる現状です。
しかし、これは、根本対策でも根本療法でもないことは明らかです。
亡国・亡国民の勢いをとどめうる正しい方策ではありません。
以上の考察を通して、明治100年の文明開化実験結果は、次のことを特に命じているといえましよう。
(1)正しいお米教育をすること
(2)正しい伝統農業を復活させること
(3)産業経済構造を改革すること
わが国は、科学技術工業国である以前に、表現は古めかしいですが、お米の農業国でなければならないことを、しっかり認識しなおすのが明治100年の文明実験の教訓といえます。
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