一物全体食とは
生きた食物には生命素があり、死んだ食物には「生命素」はない、と二木謙三博士は説かれた。
生きた食物と、死んだ食物や死物化してる食品とは、食物と人体の生命のかかわりかたが根本的にちがう。
からだに入ってからのはたらきに差がある。
ちがいがあるということです。
博士は生化学的な研究のほかに、野生動物の食生態を観察して説明しています。
たとえば、人体の酵素のはたらきを観察しても、生きたものどうLと、死んだ食物や加工食品とでは作用と反作用のちがいが出てくる。
前者は活性素として活動源としてはたらくのに、後者は腐敗分解と処理に、そのはたらきの大部分は消費される。
「玄米は生きているといっても、火にかけて炊いたり煮たりすれば死んでしまうのではないか。
煮炊き作業は、一種の加工であり、玄米も煮炊きするからには加工食品ではないか」
と、質問や反論を受けることがあります。
通常の加工食品とかわりないのではないか、という意味です。
たしかに、そのとおりです。
生食を日常食としていた上古代の先祖たちは、お米をも生で食べていたようです。
お米を炊いて食べるのは、国家的・部族的大祝祭日(ハレの日)に、一年に一度とか数度と限定されていた。
お米がまだ収量も乏しく貴重な食糧だったせいもありますが、炊いて食べるのはぜいたくと考えられていたようです。
しかし収穫量が増すにしたがって、生食より炊いたほうが好まれだします。
おいしいし、食べやすい。
炊いたごはんを食べる回数が多くなるにつれて、寿命が短かくなった。
病も多くなった。
炊飯の回数と寿命が短縮した様子が、上古代からの口伝文書などに記されています(『完訳秀真伝』)。
ですから、本当は、からだが頑健であれば生食が理想的なのかしれません。
しかし人類は、火の活用によって生食のマイナスを補う料理や食事法へと進みました。
火の使用は食事量を増やし、ぜいたくに慣れ親しませることになり、結果的には生理的にも生物学的にも退化をはじめます。
お米の食べ方に関しても、いつしか生では食べきれないからだになり、炊いた玄米でさえ食べなくなり、白米からさらに粉食へ、粉食から流動食へと虚弱な消化器人類へと退化路線を進行中です。
とはいえ、玄米を生で食べて、食べられなくはありません。
水にひたしてふやかして食べやすくしたり、発芽させたりして、炊いてしまったら得られない生独自独特の栄養や生命素を活用する食べ方はあります。
現に、生食者もいます。
しかし、生食には偉大な長所もあるかわりに短所もある。
からだの強者、弱者にへだてなく、だれにも平均してからだも頭脳も調和のとれた発達を希望するなら、やはり火を用いて食べるほうが好ましい。
人類は「火」の利用に比例して大脳を発達させることができました。
「火は、食物の組成分子、原子を、人体の、特に頭脳のエネルギーと栄養素に、変換、転換させる活性炉」のハタラキをしているのです。
人類は火の使用によって、大脳による思考力を発達させたかわりに肉体を退化させた、そのような歩みをしているわけです。
天然自然や手づくりの段階の火を利用している間は、人類は万物の霊長といえる直観力を主とする発達をしています。
原子から原子力という人工の火をつくり使用する72段階に突入して、いまや果たして霊長類といってられるかどうか疑問です。
それはともかくとして、火を用いて玄米を食べやすくする作業は、玄米の一物全体を人体用の栄養成分と生命素に変換する作業であって、現今のいわゆる機械力や化学力による加工食品の「加工」とはちがいます。
玄米を白米にするとか、
玄麦を精白粉や白パンや精白めんにするとか、
天日海水塩を化学製精塩にするとか、
牛乳をミルクやクリームやバターやチーズなどにするとか、
卵をマヨネーズやケーキにするとか、
魚獣肉をハムやソーセージやカマボコやバンペンなどにしてしまうとか、
一物全体を部分的な食材に、異質・異形体のモノにしてしまったり、何種類もの食材を寄せあつめて合成する加工と、玄米の煮炊きとは、意味も内容も効能もちがいます。
生食と煮炊きしたのとでは、一物全体食できる玄米でさえ、ちがいはあります。
生命力にちがいがあるのは当然です。
しかし現代人は、上古代人にくらべてはるかに虚弱化していますから、胃腸の消化力に応じた食べ方をするのが賢明でしょう。
煮炊きの過程を経ても玄米の生命力は、他の食物にくらべて、はるかにすぐれています。
「火力の陽性エネルギーを付け加えられた玄米は、陽性な赤血球や血液になりやすい転換力を加えられた一物全体食である」
ことを書き添えておきます。
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