牧畜民・漁猟民の食生活の知恵
世界の牧畜民や漁猟民には、それぞれにはかりしれない食生活の知恵がはりめぐらされています。
農耕を営めない気候風土では、牧畜や漁猟にたよらざるをえません。
先祖代々にわたる牧畜や漁猟生活は、人体生理をも独自の消化液や酵素や、腸内細菌叢やホルモンやビタミンなどの体内産生力や能力を、自然の気候風土にみあったものにつくりあげているはずです。
そうならぬかぎり、民族子孫の維持は果たせないはずです。
たとえば、彼らの料理法は、牛でも豚でも羊でも鶏でも魚でも、一物全体をすべて活用します。
風土に適応する範囲の動物食の一物全体食です。
べつの表現をすれば、身上不二の一物全体食です。
こうすることによって、宇宙法則違反を最小限におしとどめています。
文明の侵蝕とともにそれら良き伝統も崩されつつあるようですが、いまの日本人や先進文明国人のように、食べやすくて美味なる一部分だけを食欲にまかせて食べるのとは、大いにちがいます。
もしも文明国人と称する国民が、日本人も含めてですが、将来にわたって肉食を希望するのなら、祖先伝来の牧畜や漁猟の食生活を行ってきている民族の知恵の表裏を正しく学び直す必要がありましょう。
学び直したからとて、気候風土のちがいはいかんともしがたいことで、異風土においては相応の障害が生じることは覚悟せねばなりません。
しかし現在のような、まったく規律も秩序も欠いた雑食無秩序生活よりは、いくらかまともな肉食生活になるかもしれません。
それにしても日本の風土は、肉食を主体とする風土ではありません。
日本の風土は、水田稲作農業を基本とする風土であり、牧畜民、漁猟民それぞれにすぐれた食生活の知恵があるのと同じに、わが国には立派な稲作農業文化とその知恵が伝承されています。
お米を主食にして、その他の穀物と、野菜や山菜や海草や大豆小豆やごまなどを副食に、地域によっては少々の魚をごちそうにして副える、これが日本における日本人の生理に適合する食生活です。
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