米とみかん
日本人にとって「米とみかん」が生命であることについて述べておきます。
日本は四方を海に囲われた島国です。
この島国で明るく健康にたのしく生活するのには、自然の制約を最大限に活用する知恵が必要です。
上古代、あるいは神代の時代の日本の先祖は、いったいどのような生活の知恵を体得し発揮されていたか、こうしたことに関して『秀眞伝』は実に重要な伝承をしています。
「米とみかん」は神代から、特別な位置づけをされています。
米が私たちの主食として最高の食物であることは、いまさらいうまでもありません。
稲作水田の開拓は、神代から近代に至るまでのわが国にとって、最高に重要かつ貴重な国と国民の開拓事業でした。
稲作農業はもっとも重要な産業でした。
日本人は稲作民族として、日本の文化と文明を築いてきたわけです。
「米」についてはすでによく知られていると思いますので、ここでは「みかん」に関していささかの説明をいたします。
私も『秀眞伝』を読むまでは、みかんはビタミン類など栄養豊富な果物の一種である、という程度の認識でした。
ところが『秀眞伝』には、「みかん」としてではなく「たちばなの実」として、その樹とともに政治や日常生活場面にたくさん出てきます。
「みかん」は「たちばなの実」のことです。
神代から古代にかけての「たちばなの実」は、もっと小さく硬くしまっていてニガ味のつよい赤黄金色の実だったようです。
この実が重要だったのか、この樹木が重要だったのか、この樹のすべてが貴重かつ重要だったのでしょうが、超古代の世界的楽園としての「常世の国」の香具の木として、米と同様に天界からこの日本の島国にさずけられた神木と位置づけされています。
そして「たちばな」という命名がされています。
なぜ「たちばな」の名称かについて、横佐知子氏が『食べものは医薬』(筑摩書房)で興味深い解説をしています。
その一部を引用させていただくと、
「タチバナとは、神霊がたち現われて田植えや農作業の時期を告げる花の意味であり、また、タジマモリの名前に由来するともいわれている。
京都御所の紫廣殿には右近の橘があるが、古代においてタチバナとは柑橘類の総称であったようだ」
「タチバナ」という名称の由来については、このほかにもあるにちがいありません。
わが国の神木と指定され崇められるのには、それ相応の理由や根拠があってのことに損得樟絹神代の先祖は、直観と実体験から、この木の神性および私は『秀眞伝』によって、橘が神木であることをはじめて学んだのでした。
それ以来、「食べもので病気を治す」立場で、「みかん」の研究をはじめました。
日本という島国での食生活は、神代の時代から今日至まで、いったいどのようであったのか。
「米」が主食に位置づけられたことはよくわかります。
「みかん」はどのような位置づけになるのかを研究してみました。
そして次のように見えてきたのです。
神代の神々が「橘」を神木と指定した生理的、生態的、医療的理由がわかってきました。
四方を海に囲われた畠の日本人が、この国で生活してゆくのには海の幸(海の産物)を除外しては成り立ちません。
この国では魚や貝や海草を食糧とせずには食生活は成り立たない。
米を生産するようになる以前の狩猟採集生活時代は、狩猟は重要な生活手段であったはずです。
生命の秩序や宇宙法則から考察すると、動物が動物を食うのは「陽性生物」が「陽性生物」を食うことになって、明らかに宇宙法則違反なのです。
できうることなら、人類は動物などの肉食をしないほうが良い。
しないで済まされる土地柄(風土)に生活しているのであれば、肉食をすべきではないのです。
『秀眞伝』にも、天照大神の言葉として、肉食をしてはならないと明示されています。
肉食の中では、魚貝は比較的に邪気、邪霊、毒気はすくない部類ですが、それでも動物であることにちがいありません。
食べずに済むなら、食べないほうが良いのです。
しかし、狩猟の時代から漁によって生活する人たちは、川辺や海辺にたくさんいます。
農耕が発達する以前に、漁猟によって生活をたてていたひとは、すでにたくさんいたはずです。
農耕が発達して普及して、米やその他の穀物が収穫される時代になっても、わが国の一般的な食生活は、雑穀といも類と野菜山菜と木の実と、それに魚貝類と海草類でした。
米は雑穀や木の実類にくらべればたくさんは食べられず、鳥獣肉は魚貝にくらべれば日常食ではなかったはずです。
「みかん」は陽光ゆたかな海辺の果実です。
潮風に当たってよく生育するだけあって、魚と相性のよい成分をたくさん含んでいます。
人体にとっては邪気・邪霊・毒気や病因となりがちな魚貝の成分を、みかんのもつ成分は中和と解毒と排泄にすぐれた作用をする。
みかんには人という陽性な生物が、魚貝という陽性な生物を食することによって過剰になりがちな陽性成分を、たとえば塩分やアレルギーやジンマシンをひきおこしやすいタンパク質を、中和したり消化促進する成分に富んでいます。
これらの観占章魚曇食べざるをえないこの国民に、橘を神木として、その実を磨〃として天は授け下されたのではなかろうか、と考察することができます。
米と野菜と魚は、日本の風土がしぜんに豊かに生産できる食物です。
日本人の定食素材です。
この日常食素材を、悪い副作用を最小限に減らして、子孫繁栄の食事として定着させる副食物として、緑の国土に太陽を象徴する「常世の国」の香久の木の実「みかん」は位置づけされたにちがいありません。
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