食物と病気の因果関係
「食は命なり」と覚れば、病気は食物に因縁し、縁起することを理解できます。
なぜなら、病気は生命現象のひとつにすぎません。
生命現象は命の現われかたと、象です。
病気は、食物の微分現象にすぎません。
私は幼少の頃から弱かったおかげで、風邪をひいたり、腹痛で苦しんで寝こむたびに、なぜ風邪をひいたのだろうか、なぜ腹痛になったのだろうかと、フトンに寝て天井を眺めながら考えたものです。
その頃は、まだ、食物の秘密をまったく知りませんでしたから、飲み食いに病気の原因があることなど思いもつきませんでした。
この考える習慣のおかげで、後年「食は命なり」とか、「食なきところに生命現象なし」という格言に触れた時、雷光にうたれたように「食」の重大性を察知させられました。
すでに他の拙著(『生活革命=玄米正食法』や『「元気」の革命』など)に書いたことですが、私の両親は、私の誕生以前に三人の男児を病死させています。
長男を八歳で、二男を四歳で、三男を一歳で、いずれも赤痢・疫痢でした。
三男を失った翌年に私が生まれ、私も生まれると同時にジフテリヤにかかり、死線をさまよったようでした。
子どもを連続して病死させた両親の反省は、医者と薬の世話になるのが手おくれだったという認識でした。
ですから私のからだのぐあいが悪くなると、なにはさておき、すぐに医者に駆けこんで、注射をしてもらい、薬をのませることでした。
私は胃腸の弱い子でした。
もっとも、これは、私だけではありません。
母も胃腸は弱かったし、二人の姉と一人の妹も、みな胃弱でした。
いま考察すると、胃弱になる飲食物を母は好きでしたし、母の両親も好きだったようです。
私たちは胃腸薬と消化剤(重曹など)と保健薬(わかもととかエビオスなど)を手離したことがありませんでした。
両親は明治32年(1899)生まれです。
明治・大正・昭和前期は、白砂糖は貴重な食品で、白砂糖を使える家庭は教育文化度の高い家だなどといわれた時代です。
母の家系は教育水準の高い一家でしたから、「白砂糖は教育文化のバロメーターである」という名宣伝文句に、ウマウマとのせられたようです。
白砂糖好みとなって、胃腸の弱い家系となったといえます。
母はその代表選手になったかのありさまで、三人の男児を赤痢と疫痢で死亡させたのです。
白砂糖が、胃腸を病弱にして、そこを赤痢菌や疫痢菌が温床にする因果関係を知っていれば、悲しいおも念いをせずに済ませられたはずです。
ところがその時代は、子どもを赤痢や疫痢で失なうのはありふれていて、一種の流行病として、これに雁患するのは「運」が悪かったこととして見過ごされたのでした。
「殖産興業」の国策から、砂糖産業も政府の援助補助を受けて繁栄に繁栄を重ねた時代です。
政府は、食物と病気の因果関係を知りませんから、難病が砂糖によって起きてることなど想像すらできず、砂糖の消費普及の音頭とりを行っていたのです。
この結果、教育熱心で国の教えや指導に忠実なバカマジメな国民ほど、可愛い子どもを流行病で死なせ、死なせずに難を逃れた子弟は、軍国の英霊へとこれも犠牲に供す結果に終っています。
要するに、巧妙な宣伝の裏には必ず大きな落とし穴があって、善良なる弱者はいつの世でも悪賢い強者の権力者悪徳商人の犠牲に供される憂き目に遭う仕組みになっています。
こうした「悪の仕組み」を見抜くには、「食物の秘密」を是非とも知っておく必要があります。
私の両親は、三児を病死させた真の原因が何であったかを正確に理解せぬまま、その後も生活をし、生涯を終えています。
赤痢・疫痢は胃腸の極端な塩ぬけ症状が原因です。
白砂糖を文化家庭のシンボルなどと洗脳されて消費につとめ、このほか胃腸の脱塩を促進する飲食物、たとえば当時としてはサイダー、ラムネ、かき氷、キャンデー、スイカ、メロン、トマト、氷砂糖、キャラメル、カステラ、甘納豆など、こうした口あたりのよい甘いものを常食していては、赤痢・疫痢にかかるのは当然です。
胃腸に正常な塩分が保たれなければ、健全な消化吸収活動はされず、血液と体液の塩分濃度に応じたさまざまな病気が派生してきます。
私の幼少期に、こうした食物が身近にあふれていたということは、父も母も、三児が飲食物のまちがいの犠牲になった原因を正しく理解できなかった証拠であり、正しい反省がなされていないことを物語ります。
父母は原因究明を自分たちでは行えなかったので、私への遺産としたのかもしれません。
私は、こうした甘い飲食物を中心に、医者と薬と栄養食によって育てられることになります。
そして、いっこうに丈夫にも健康にもなりきれないのでした。
出産後のすぐにジフテリアになったのち、脱腸になっています。
二歳の時に脱腸はどうにか治り、その後は風邪と腹痛の繰り返しです。
自分でも、飲み食いに、いやしい食いしん坊だったと記憶しています。
邪食の暴飲暴食は、かならず、病気や怪我を誘発します。
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